うつ病のうつ病の支持的精神療法
うつ病の支持的精神療法
うつ病の薬物療法を行う時に、併用される支持的精神療法がほぼ確立しているという。これは、薬物療法の一部である。
「治療の初期には、それ(薬物療法)に加えて支持的精神療法が不可欠である。「必ず治る病気であること」、「病気なのだから治療中は大きな決断(辞職・離婚など)はしないこと」、「自殺は絶対にしないこと」、「薬が治してくれるから自分で頑張ろうとはしないこと」などの言葉で何回も支持する必要がある。
家族に対しても病気の正しい説明をして、治療中は励まさないように注意をしておくことはいうまでもない。うつ病を本人の”怠け病”だと思っている家族は依然として多いからである。さらに、うつ病患者は治りかかったときに自殺することが多いことは、既によく知られている。」(1)
宮岡氏も「精神療法」として、ほぼ同様のことを述べている。そして、それは、時間がかかる。
「精神療法
うつ病のうつ状態における接し方の基本を表16に示す(上島,1983)。
接し方で重要なのは、@内因性うつ病は一時的な体の変調であるが、症状としては精神面にあらわれている、Aうつを治そうと、性格や環境についてあれこれ頑張って考えてもどうにもならないが、時期がくれば必ず治る。B薬は治るまでの期間を短縮する。Cうつの時は何事も悪い方へばかり考えてしまうのはしかたがないが、大きな決断はしないでほしい、D絶対に自殺はしないでほしい、などの内容がうまく伝わればよいであろう。これにはうつ病の診断よりもずっと時間がかかる。内科外来で面接に時間をかけることが困難であるなら、短時間ですませようとせず、精神科医に依頼する努力をして欲しい。」(2)
塩江氏も「精神療法」として、ほぼ同様のことを述べている。薬物療法を行う医師の「精神療法」として、ほぼ共通である。
「さらに、これらの身体療法に加えて休養をすすめ心理的負担の軽減をはかる
精神療法の重要については言うまでもないことだろう。精神療法においては病気は必ずよくなることを保証し、十分に休息がとれるように家庭や職場において環境調整をはかる。頑張れ負けるなと激励したり、実行困難な提案を強要することは逆効果となることを周囲にもよく理解させ、受容的に接するように心がける。薬物療法についても治療開始時にその内容と方針をよく説明する。抗うつ薬本来の抗うつ効果が現われるのには二週間程度かかるが、不眠や不安はより早期に改善可能であること、薬物の不愉快な有害作用についても説明しておく必要がある。このように、精神療法的面接は抗うつ薬のコンプライアンスを高め、治療を円滑にすすめるためにも大事なことである。」(3)
以上のように、うつ病の「精神療法」とは、薬物療法の効果が現れるのを待つ補助的な手法である。これで、薬物の効果が現れない場合には、他の「心理療法」を試みる必要がある。
(注)
- (1)保坂隆(『ストレス診療ハンドブック』メディカル・サイエンス・インターナショナル)307頁。
- (2)宮岡等(北里大学)(『内科医のための精神症状の見方と対応』医学書院)、47頁。
- (3)塩江邦彦(山梨医科大学)「抗うつ薬以外の薬物によるうつ病治療」(『こころの科学』97号、日本評論社、)、52頁。