心理療法なしのうつ病は改善しにくい
心理療法なしのうつ病は治りにくい
欧米では、精神医学もすすんでいる。岸康宏氏が、パニック障害の救急外来での治療を紹介している。パニック障害でもうつ病でも心理療法の重要性を指摘している。そして、心理療法を併用しないで薬物療法のみを用いる「身体科医」による治療では改善率が低いという。
「パニック障害だけでなく、精神科疾患(たとえば大うつ病)では非精神科医への受診が多いと以前よりいわれている。また、「身体科医」のみで精神科疾患を治療すると、精神疾患の改善率が低いことも知られている(1)。
日本では、うつ病には薬物療法のみを用いる治療が主であるが、再発も多いので、改善率が低いという状況と一致している。薬物療法を受けても治らず遷延化している患者もいる。
うつ病には、病中に強い認知のゆがみが生じており、さらに発症にも認知のゆがみが大きく関与している。それにもかかわらず、認知のゆがみを何も修正せず薬物で治すという方法は、発病の心理もわからず、治癒した理由もわからず、治すのであり、その後の、職場復帰過程や、ライフイベントで、容易に再発してしまう患者が多いことになる。本当に、患者の利益を思うならば、再発しないですむように、心理療法を併用すべきである。岸氏が指摘するように(1)、うつ病者やパニック障害などの精神疾患を専門家が協調して心理療法を行う必要があるのに、どのような仕組みで誰が行うのか日本では、その対策が遅れている。
うつ病やパニック障害の心理療法は、筆者の経験では、カウンセラーによる根気のよい、長期間の心理療法を必要としている。その再発防止の効果は大きいので、継続したいが、その時間に比例して報酬をクライアントに請求する方式では、クライアントの経済的負担が大きすぎることから、社会全体で新しい仕組みを構築していくべきであると思う。
(注)
- (1)岸康宏(ミネソタ大学神神科)「パニック障害とは何かー救急外来とパニック障害」(「こころの科学」107号、日本評論社、43頁。)