薬でうつは治るのか?(8)=良心的な医者をさがしなさい
=書籍紹介「薬でうつは治るのか?」片田珠美、洋泉社(新書)、780円+税
日本では、うつ病だとわけもきかずに、薬物療法を開始する。診療報酬の制度ゆえに、収入が少なくなるので、心理療法を行なう医者は少ない。だが、再発をふせぎ、早期になおしたいなら、話をよく聞いてくれる医者もいるから、さがすべきだと、精神科医、片田珠美氏は、次のように書いている。
「もっとも、「話をきちんと聞いてもらえない」「相談しても、『薬をきちんと飲みなさい』としか言ってもらえない」という不満を訴える患者さんが多いのも事実である。その背景には、日本の保険医療制度の構造的な問題がある。患者さんの話を何分聞いても、健康保険で請求できる「精神療法」の点数は変わらないので、一人あたりの診察時間をできるだけ短くして、数多くの患者さんを診察し、なおかつ大量の薬を処方してもうけようという医者がいるわけである。しかし、患者さんの話に誠実に耳を傾けようとする良心的な精神科医も少なくないので、そういう医者のいる病院や診療所はどこか、情報収集することも必要だろう。」(218頁)
うつ病は抗うつ薬で治ると宣伝する医者が多いから、こんな本を出版したら、同業者から、のけものにされ、いじめられることはないのだろうか。多少、不安を感じておられるのだ。
「ここまで抗うつ薬の悪口を書くと、筆者は精神科医として勤務できなくなるのではないか、少なくとも、製薬会社の営業担当のMRの方にはもはや顔向けできないのではないかと、本気で心配している。ただ、現在主流になっている薬物療法には、少なからぬ問題があり、それを指摘せずにはいられなかったというのが正直な気持ちである。」(214頁)
勇気ある出版に賞賛と敬意を表明したい。この本を読む医者と患者、家族の行動に影響を与えるに違いありません。薬物のみに依存せず、自己を見つめて、うつ病を治して、復帰される人が多くなることを心より、祈ります。
心理療法のカウンセラーも種々あって、カウンセラーがみな、うつ病を治せるとは限らない。片田氏も忠告している。ながびく原因の一つは、「不適切な精神療法的介入が挙げられているほどである」(221頁)。うつ病の治療が得意な、医者、カウンセラーをさがすべきだ。これも、情報が不足しているが、真剣にさがせば、みつかるだろう。