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アメリカの新しい心理療法(マインドフルネス心理療法)目次
マインドフルネス認知療法
=再発するうつ病患者に朗報
=うつ病が再発しなくなる
アメリカの新しい心理療法をみています。うつ病が重症化する「大うつ病エピソード」を3回以上、繰り返し起こしていた「うつ病」患者が、新しい心理療法プログラムに参加すると、それ以上は、再発しなくなるという、画期的な、「うつ病再発防止プログラムが完成した」と記述している。マインドフルネス認知療法である。日本でも、導入すれば、自殺を減少させることができるかもしれない。
第3章で紹介されている。
まず、概要をおしらせします。この中にでてくる次の内容は、このあとアップしていきます。
- 「臨床的効果の詳細」
- 「なぜ、3回以上大うつ病の経験者にのみ効果があるのか」
- 「認知療法」の理論と治療技法の変革が必要
- 「注意=誤解しないでいただきたいこと」
この記事にでてくる話題・用語のうち、いくつか、詳細が別の記事に記述されているものがあります。「→」で示します。ここでは省略しますので、→の記事をご覧下さい。
新しい心理療法プログラムの適用試験の対象者
3つの施設(精神疾患などの治療施設)で、次の条件にあてはまる患者を研究対象とした。
- 現在は、大うつ病から寛解、または、回復している。
- 少なくとも、2度以上の「大うつ病エピソード」を経験した。
- 参加者は、みな、以前に抗うつ薬の治療を受けていたが、このプログラムに参加する3カ月前までには投薬を終了していた。
(注)「大うつ病」とは(うつ病にも重い、軽い状況がありますが、「大うつ病」は、重症です。詳細は、こちら)
この条件を満たす患者を無作為に2つのグループに分けた。
- (TAUグループ)その施設での治療を継続する
- (MBCTグループ)その施設での治療に加えて、MBCTトレーニングを受ける。
(MBCTグループ)には、MBCTトレーニングが行われた。概要は次のとおりである。
- 毎回2時間のセッションを毎週1回、計8週間行う。
(患者が、何回参加したかで、改善効果が異なってくるであろう=大田注)
- 通院方式である。毎日、ホームワーク(課題、宿題)が出される。
(これを参加者がどの程度実行したかによって、改善効果が異なってくるであろう=大田注)
- その方法は、ジョン・カバト・ツインが開発したマインドフルネス・ストレス低減プログラム(MBSR)である。
- 「プログラムの主要なテーマは、その瞬間の体験に対する気づきに注意を向けることである。患者たちは、プログラムを通じて困難や苦痛に直面したり身を投じたりする中で、開かれた受容的なモードを養う。さらに、苦痛に伴う思考や感情を、心の中で生まれては消えてゆくささいな出来事にすぎないと捉えることで、それらに対する「脱中心化」した視点を身につけてゆく。」(83頁)
「脱中心化」した視点を身につける。
- もう一つは、マインドフルネスの実践トレーニングである。
「マインドフルネスが増加することで、ネガティブな思考や感情、身体的感覚の抑うつ関連パターンにいち早く気づくことができるようになる。より初期の段階での警告サインを見落とすことなく、再発の危険性を「つぼみのうちに摘み取る」ことができるのである。」(84頁)
- 8週間のプログラムの実施の後、(MBCTグループ)には、1、2、3、4カ月後に、フォローアップ・ミーティングが用意された。
- 8週間のプログラムの実施の後、5年間にわたって、2つのグループの患者を追跡して、再発の有無を比較確認した。
- その後、5年間の抗うつ薬使用は、患者の自由である。2つのグループとも、服用した者、しない者がいる。
臨床的効果
このプログラムの効果は、次のとおりであった。2回以下の、大うつ病エピソードの経験者には、効果がみられず、しかし、3回以上の大うつ病エピソードの経験者には、再発を防止する効果がみられた。
「3回以上のエピソードを経験している患者(参加者全体の77%)では、MBCT群とTAU群の再発率に統計的に有意な差が見られたのに対して、2回のエピソードを経験した患者(参加者全体の23%)では、そうした差がみられなかったのである。つまりMBCTは、より長い病歴をもつ患者に限ってその効果を発揮するということである。」(86頁)
この特別なプログラム、MBCTは、長期間、うつ病の再発、寛解を繰り返す患者に、それ以上の、再発を予防する効果があることが確認された。
そこで、このプログラムの有効性と限界を注意しておく。
今は、簡単にいうと、
- この心理療法プログラムは、急性期の治療法ではない。(初めて発病して、まだ軽くなっていない患者)
- だから、初回でも、再発でも、今、まさに、重症化している患者に行う方法ではない。
- 2回以下の、大うつ病経験者に効かないからといっても、マインドフルネスやアクセプタンスの実践(坐禅に似た自己洞察法も)が、これ以外の「うつ病」に効果がないという意味ではない。このプログラムは、繰り返すうつ病者の「寛解」期に実施するプログラムであること、しかも、そのプログラムは、毎週1回、8回で修了という内容である。重症期にいる患者の場合に必要な実践法、心理教育がない(寛解期にいる人だから当然であるが)、また、個別カウンセリングもない。限定された手法である。
- このMBCTプログラムでも心理教育は、もちろん、行われている。
「いくつかの特殊な再発/反復の予防方略を系統的に身につけることも、プログラムの後半で目標とされる(例えば、「初期警告システム」として家族にも協力をお願いすること、再発を生じる過程を阻害するのに役立つ行動を目標として掲げ、これを継続すること、習慣的なネガティブ思考を探すことなど)。」(84頁)
→「注意=誤解しないでいただきたいこと」に詳細に述べます。
このプログラムは、再発を多く繰り返す患者に対して、寛解になった時に、多数一度にグループ・セッションによって、それ以後の再発を防止できる技法の一つとなった。坐禅に似た心の実践が前面に押し出された心のトレーニング(マインドフルネスとアクセプタンス)を実習することが特徴である。これによって、その患者の、今後の生活の質の向上(再発防止で就職などできる)、医療費の削減、自殺の防止に貢献できることが確実となった。日本でも、3回以上、再発した人で、今は、軽くなっている人に対して、同じようなプログラムを実施すれば、大きな貢献になる。患者の多い大病院で、もとの患者によびかけて実施すればいいであろう。(あるいは、2カ月入院する患者に対して、(薬物療法を受けても、受けなくても)入院しながら、毎週1回、このセッションを提供する方法がある)
基本的には、このプログラムは、通院方式であるから、全国に散在する患者を募集して行うには適さない。毎週1回、8週間、通うことができる距離にいる患者に対して行う方式である。
アメリカのMBSRだけが有効な技法というわけでもない。これは、仏教と同じである。仏教は、「苦の四聖諦」が基本である。苦の最も大きいものに、心の病気がある。心の病気の人の苦を全く支援できないのでは、仏教の重要な部分を欠くことになる。
日本には、禅(に類似の、呼吸法・自己洞察法=注意集中法、不要機能抑制法、徹底受容法など)の技法がある。同様のマインドフルネス、アクセプタンスの実践である。また、ヴィパッサナー瞑想も、用い方によって、その効果があるだろう。私どもの自己洞察法も基本的な技法の位置にある。つまり、「自己洞察瞑想療法」でも、同様の効果がある。応用次第で、種々の病気、問題の種々の局面(治癒、再発予防、など)に効果のあるプログラムを開発すべきである。そのためには、病院や患者の参加協力で、研究をすすめていく必要がある。このマインドフルネス認知療法も、5年の歳月をかけて、実証されている。長期間かかる。できるだけ早く、この技法を駆使できるように組織のスタッフを育成し、患者も協力できる施設がなのりをあげて研究を開始していってほしい。
下記の詳細は、今後、のべていきます。
- 「臨床的効果の詳細」
- 「なぜ、3回以上大うつ病の経験者にのみ効果があるのか」
- 「認知療法」の理論と治療技法の変革が必要
- 「注意=誤解しないでいただきたいこと」
「マインドフルネス&アクセプタンス
ー認知行動療法の新次元ー」
編著=S.C.ヘイズ、V.M.フォレット、M.M.リネハン
監修=春木豊 監訳=武藤崇、伊藤義徳、杉浦義典
ブレーン出版、2005/9/10、3800円+税
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全体の目次
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第3世代の行動療法
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第3世代の行動療法(2)「メタ認知」
3章の執筆者は、Zindel V. Segal, John D. Teasdale, and J. Mark G. Williams