(資料 #PRF-90-S7)
自殺防止・うつ病治療の心理相談員養成講座
第1 テキスト
第2 マインドフルネス心理療法の根本の仮説、立場
- 哲学的立場は「機能的文脈主義」
- 特徴は右表のとおり(2ページ:省略)
- 自己洞察瞑想療法(SIMT)も同じような立場
以下、
(5C) (テキスト #PRF-03)マインドフルネス心理療法入門(第3)
自己洞察瞑想療法の理念と立場
第3 正確な理論理解は不要
- 正確であってもむつかしいのは社会に有用ではない(14頁)
- 学びやすいように実践的な表現方法(15頁)
- セラピストは他の技法を使うと洗練されない(15頁)
- セラピストはテキストをうのみにしないで! その精神を読みとり自分の言葉で指導を。つまり
言葉そのものではなく、何を指導しようとしているか「機能」を重視。
(15頁第3)
- @ -
第4 関係フレーム理論
- 新しい反応の学習(12頁)
=フレーム(中身は変わっても、変わらない外枠のようなまとまり
- トレーニングでフレームの関係が学習される(12頁)
- 関係フレーム理論は、ACTの理論であるが、
第5 マインドフルネス心理療法の立場
- 現在一元論(17頁)
- 部分のみは存在しない(19頁)
- 心身一元論(21頁)
- 傾聴だけの技法は用いない。セラピストはクライアントに「影響」を与える。(22,6頁)
- 「有用性基準」(15頁)
従って、文脈(今ここ)の自己の活動に改善の影響を与えることが他の科学で報告された知見を応用した技法は何でも用いる。
個人の価値(個人願い、幸福のようなもの)の強調、呼吸法、見ることの探求、運動、脳トレーニング、生活習慣の改善、神経生理学的知識の教育、人の集まりに参加、たとえ話し(メタファー)、行動活性化技法、セッション中のセラピストへの感情的反応の利用、座談会、集団カウンセリングの重視(改善していく他の人の影響、回避を改善するリハーサル、対人コミュニケーション)、など。
体験的でなければ効果がないので、セッションでなるべくトレーニングする。セッション以外でも実行できるようにする。そのためには、「目標技法」を常に織り込むように「言語を多く用いて」心のスキル(今ここの瞬間を無評価で観察して自己を洞察して価値にそった行動ができる心理的柔軟性スキル)の移転をはかる。
第6 自己洞察瞑想療法(SIMT)の仮説
- 心理的柔軟性に欠けるために精神疾患が起きる、維持される。(25頁)
- 心理的柔軟性と神経生理学的変調が相互に影響する。(25頁)
- 機能亢進と機能低下がある。逆のトレーニングが効果的(26頁)
- 神経生理学的変調の慢性ストレスと急性ストレスは相互に影響しあう(26頁)
第7 自己洞察瞑想療法の前提
- 治したいと思う患者が脱落するのは、患者が悪いのではない。治療プログラムが多様でないとか、セラピストの未熟さによる。
- クライエントは怠けていない。病気である。怒らない、否定、批判しない。(セラピストが受容の実行を)
第8 4つの智慧、直観的な叡智
- 「機能」という視点からみれば弁証法的行動療法の(a)「賢明な心」、(b)ACTの「文脈としての自己」、(c)自己洞察瞑想療法の「直観的な叡智」は、3つとも、同じような心理的柔軟性スキルを開発しようとしている。どれを用いてもいい。
(a)(b)は、「心」「自己」であるから、主体を表現する言葉である。(c)は智慧であり、主体のハタラキを表現している。「今、ここ」は一つであるから、直観的な叡智のハタラク自己、心はべつものではない。
- B -
- クライアントも、これを体験することが精神疾患の治癒に役立つ。そのためには、当然、セラピストが体験しなければならない。これは当然であるが、宗教としての「悟り」とは異なる体験的自覚である。精神疾患のクライアントでも、短期間のトレーニングで体験できることである。ただ、いつも自覚的にはたらくようになるのは6カ月〜2年ほどかかるだろう。
- セッション9で、集中して記述している。しかし、ここだけではない。「観察する」ということが多くのセッションでトレーニングされていました。
今回は、特に、ここに焦点をあてた心理教育とトレーニングをします。
第9 マインドフルネス心理療法と禅
アメリカのマインドフルネス心理療法は、徹底的な現在一元論、心身一元論からすすめられる心理療法です。私どもの自己洞察瞑想療法もそうです。
また、禅もそうです。禅の思想は宗派、僧侶によって違うと言われますが、初歩段階の禅の実践から自己洞察瞑想療法は開発されました。
禅の哲学は、西田哲学で説明されています。(西田幾多郎によれば、禅の哲学と西田哲学とは全く同じではありません。禅僧は論理的、哲学的に説明していません。学になっていません。)
第10 問題の確認から解決対策の作成まで
- 種々の問題を自己洞察瞑想療法で支援しようとする場合、
こうした手続きで、問題定義、要因の分析、課題の決定、実行、評価などの治療方針を組み立てる。
- 概要は別紙。
第11 うつ病のアセスメントから初回指導まで
- 以上はどの疾患、問題でも適用できるような一般的な手法であった。うつ病については具体的にどのように適用するのかが
テキスト「うつ病のアセスメントと治療戦略」(4C)
- 面接で何をすればよいかの詳細。
- 問題(症状)を詳細に調べる、連鎖分析、要因洞察、治療方針の策定、説明、スキルトレーニングの実地指導、課題。
- 当初の連鎖分析・要因洞察は一般的仮説でよいが、クライアントにはそれを説明しなければならない。
- そのクライアントに特有の思考、感情、症状、行動は治療が進展してから行なえばよい。その時も、問題(症状)を詳細に調べる、連鎖分析、要因洞察、治療方針の策定、説明、スキルトレーニングの実地指導、課題。
- テキスト『うつ病とは』はうつ病の簡単な説明。クライアントに説明する。
第12 構造化された治療プログラム
=定型化した指導プログラム
- 「マインドフルネス心理療法の基本」セッション1〜12
- 初心のセラピストが行いやすい。
- ベテランのセラピストでも効率よく多数のクライアントを治療できる。
- 治療だけではなく、再発予防、自己成長にも自分や他者がなぜ心を病んだり、非行犯罪が止まないのか知るのに便利なテキスト
- これは一例であり、今後、改良、追加されていくべきもの。
- C -
第13 実習
今回は、種々の作用、意志作用のまとめと、直観的な叡智の探求をするトレーニングを実行します。この講習だけは、習得されません。他者の支援にたずさわる方は、セッション11と12の自己洞察法をずっと継続なさってください。実行の質が深くなり、量が増えるほど、従来、見えていないかった自分が見えてきます。
今後、体験的に自覚され、現実の行動に現われるようになるまで、何か月もトレーニングしてみてください。
カウンセリングはセッション12までで終わるわけではありません。半年、1年、2年とクライエントの方はこられます。そういう方の自己洞察は真剣であるために深まっており、それでも、わづかな勘違いなどを起しています。助言し続けることができるために、セッション11、12を体得して下さい。
セッション9、セッション10、11、12は、同時に並行して、実践していくことになります。クライアントの方の、まだ残っている苦痛、残った問題に取り組む支援をしていくことになります。
- セッション11=主として、種々の作用、意志作用の自覚
- セッション12=直観的な叡智のトレーニング
第14 受講生の皆様の課題
- これで修了です。2週間はセッション11の課題を何日か実行してスケジュール表に記入する。
- その後の、2週間、セッション12の課題を何日か実行する。ご自分のまだよくわかっていない技法、トレーニングを課題として計画してください。
- できれば、毎日、日常生活の「今ここ」で「種々の作用と意志作用の自覚」「直観的な叡智」を生涯実践なされば、マインドフルネス心理療法のセラピストとしてのスキルが洗練されていくでしょう。
-
もし、セッション11,12がよくわからないカウンセラーのかたは、セッション10までで、支援をすすめてください。セッション10までのテキストにも、セッション11、12のことは含まれています。
ただ、セッション10までの課題で、長期間支援しても、長引く場合、明確にセッション11、12のように深く洞察しないと治りにくいでしょう。
カウンセラーの方も、セッション11、12まで、会得されるほうが広く深い問題を支援できます。
- D -
<第1> 問題の確認から解決対策の作成まで
→(4D)(テキスト) 「問題分析・解決対策作成戦略」
- 未知の問題についてであろうと治療方針を立てる公式のような手法。
初回も、治療進行中に起きる感情的な出来事でも、次のステップを繰り返していく。
- 問題の定義=問題、症状、状況を明確に定義する。診断的アセスメント。
- 連鎖の分析=その様子は今の瞬間にどのような連鎖反応パターンをみせるか
過去は分析しない、過去の問題ではない、今の反応パターン。
- 要因の洞察=連鎖が止まらない要因。
- 解決対策の分析
- 課題の決定
- 実行
- 実行状況の評価。なお残る問題についてまた定義から。
<第2> 問題定義
- 精神症状、身体症状、不適応の行動、生活の質を損なう行動(5頁)
- 慢性的な症状、状況不満(急性の発作など)
<第3> 連鎖分析
=周囲の人を変えるのではなく本人を変えられることで支援するのが心理療法
=環境や周囲の人を変えるのは別の専門領域(ソーシャルサポート、福祉など)
その支援もできることは望ましいが心理療法スキルとは別の知識・スキルが必要。
- 1)本人が成長できスキルを発見できるような現在の連鎖の分析
「解決しなければならない問題が患者の行動ではなく、周囲の行動であることもあるが、セラピーの課題は、問題を患者またはセラピストの感情、思考、行為の側面という観点から定式化することにある。」(弁証法的行動療法のリネハン)(12頁)
- 2)分析の方針
現在のプロセス全体と部分という視点からの分析
過去や他者に原因があるという分析はしない
苦悩の克服は他者を変えることを望むのはむつかしく自己が変わることが容易
=「今、ここ、自己」これがマインドフルネス心理療法に共通の手法。仏教の手法でもある。マインドフルネス心理療法(アメリカも日本も)は仏教や禅の手法を参照して開発された。
- a)全体と部分
連鎖分析は、現在の精神行動プロセスの全体を知って、その全体を構成する部分と部分の関係、連鎖を分析するという手法で行なう。部分は、感覚などの刺激、思考、感情、身体反応、気分、欲求衝動、行動(感情などに影響された行動)、その結果生じた状況などがある。そして、人が生きる瞬間は部分でありながらその人の全体である。
- b)過去は変えることはできないが現在や未来は変えることができる
親の子育ての失敗で今のうつ病が治らないというような分析はしない。夫婦不和によるうつ病は相手に原因があるというような探求はしない(相手の協力が得られるならば別)。クライアントの問題を他者や組織や社会に責任があるという探求では、必ずしもクライアントの現在の疾患が改善するのに効果があるとは認められない。
- c)自分が変わることで心の平安を
クライアント本人が、心理的柔軟性の欠如、神経生理学的変調を改善して苦痛を軽くしていくと治癒する可能性がある。それが軽くならない苦痛は受容することが平安をもたらす。クライアントは、今どのように刺激を受け止め、認知し、嫌悪し(受容せず)感情を起こし、行動しているか、結果としてどうなったかを分析する。(「うつ病のアセスメントと治療戦略」14頁)
- 3)連鎖分析のポイント
(
「問題分析・解決対策作成戦略」8頁)
- 感情的出来事の多次分析を行なう。
- 慢性不満と急性不満の両方を分析の対象にする。
- 初回分析ばかりではなく、治療の中途でも分析して治療の方向を修正し、修了時点でも分析する。
- 治療セッション中にクライアントが感情的になる出来事や不適応の行動があれば、それを活きた材料として分析する。
- 現在の不幸の原因が過去にあるという連鎖分析はしない。
<第4> 要因の洞察
=自己洞察瞑想療法のセラピストは評論家ではなく治療支援者たらん
-
連鎖の繰り返しがどうして起きるのか本人にある要因の洞察。問題解決戦略の選択につながる洞察でなければならない。たとえば、生育した過去や周囲(たとえば、配偶者の暴力)や環境(たとえば職場の勤務状況)に現在の苦悩が持続する要因があるというような洞察では心理療法の技法選択に結びつかない。
- 自己洞察瞑想療法は心理療法であり、治療する医療。病気を予防する心理療法。治療法、予防法(再発、初発も)が出てくる要因洞察。
- 心理的柔軟性、神経生理学的な変調という視点から要因を洞察(解釈)する。
ただし、これも絶対視、教条化して固執してはいけない。神経生理学的研究もすすんでいく。このマインドフルネス心理療法自体も変化していく。
(テキスト4D=16頁。テキスト4C=18,21頁)
<第5> 解決対策の作成
- 心理的柔軟性のスキル向上、不可ならば受容。
- 神経生理学的変調の改善、不可ならば受容。
- 生活習慣の改善。
- (テキスト4D=22頁。テキスト4C=26頁)