相談相手がいない
自殺したあとで、調べてみると、子どもからは先生には相談しない場合も多い。次は、秩父の中学でのアンケート結果である。先生にも、学校のカウンセラーにも相談しないだろうという生徒が多い。
- 1割超、相談相手なし
悩みアンケート。秩父の中学。12人はペット(1)。
- 「誰にも相談しない」が35人。(438人中。回答数は446人)
- 「先生」が16人。
- 友達=264人
- 家の人=110人
- その他=56人
国立教育政策研究所がまとめた「いじめ」に関する指導資料でも、子どもからは、先生に期待していない心理があったことが報告されている。もし、学校から、働きかけなければ、先生には相談せず、長引くことになる。ただし、この事例では、学校側から、強い働きかけをしたので、不登校を解決できた。
「@ 心理・社会面では、学級でのいじめを主因とする疎外感や学校への不信感が強い。具体的には「クラスの人が変な目で見たりいじめたりする」「先生方に言ってもよくならない」「学校に行きたくないと強く思う時がある」などが挙げられる。 」(2)
(注)
- (1)朝日新聞、8/01/2004 埼玉版。
- (2)国立教育政策研究所「生徒指導資料第2集 不登校への対応と学校の取組について−小学校・中学校編−(概要)」、2004年7月、その事例2。
学校に配置された「相談室」には行かずに自殺した事例がある。
学校側から、積極的に介入すれば、不登校を解消できることが多いことを国立教育政策研究所の報告書は、示している。生徒からは、相談相手とはみなされていないので、担任の側が積極的に動くことが鍵である。この資料は、成功例が多いが、不登校になってから担任が気がつくケースである。大きな問題は、不登校にならないうちに、先生にも相談せずに、自殺する場合である。子どもからは、先生に積極的に相談する気持ちにならないのである。
- (1)国立教育政策研究所「生徒指導資料第2集 不登校への対応と学校の取組について−小学校・中学校編−(概要)」、2004年7月
なぜ、先生や学校カウンセラーなどに相談しないのだろうか。これについて、記述された文献が管見にないらないので、筆者の推測を述べておく。先生は忙しいこと、悩みのカウンセリングの知識がないことを生徒が疑うのではないか。学校カウンセラーに相談しないのは、先生やいじめの相手に通報されては困ると思うとか、学校カウンセラーのカウンセリング能力を信じない生徒もいるのではないだろうか。
- 「先生は忙しくて、私の悩みについて相談を受けてくれるような雰囲気ではない。」と生徒が思う。
- 「私の先生は学科の指導ばかりしか興味なさそうだし、私の悩みについて解決できそうな力があるとは思えない。」と生徒が思う。
- 「私の悩みは先生のせいだ。」と思う。これについては、資料がある。これでは、先生や学校カウンセラー(先生に通報される、どうせ先生のかたを持つだろうと思う)には相談しにくい。
- 「学校のカウンセラーに相談したら、先生にいいつけられて、先生をさらに怒らせるかもしれない。」と思う。
- いじめによる場合でも、
「先生や学校のカウンセラーに相談しても、相手にちょっと注意するだけで、いじめはとまらないだろう。いじめられていた相手から「いいつけたな」といわれて、かえって、いじめがひどくなるだろう。」と思う。
- 「以前、似たようなことを、先生やカウンセラーに相談した仲間を知っている。相談したのに、解決しなかった。治らなかった。大勢が不登校のままだ。自殺した子もいる。相談したって無駄だ。」と思う。
こういう生徒の心理を予測して、先生や学校カウンセラーを配置しても抜け落ちるところを埋める相談場所を作らないと、生徒の不登校、自殺は減少しない。
自殺史上最多へ